耳の中の音を感じるセンサー部分や神経に障害が起きると難聴になります。突発性難聴はある日突然急に聴力が低下し、耳鳴りやめまいを伴うことがあります。突発性難聴は原則として繰り返すことはありません。原因はウイルスや血管の問題といわれていますが、はっきりとしたことは分かっておりません。また、低い周波数だけ難聴になることがあり(低音部感音難聴やメニエール病)、こちらは難聴を繰り返すことがあります。原因は内耳がむくむためといわれています。
治療としてはビタミン剤や血流改善薬と一緒にステロイド剤、利尿剤および血管拡張薬などを投与します。全身投与でも改善が乏しい場合はステロイド鼓室内投与を行うこともあります。

中耳炎が慢性的に続くと鼓膜に穴が開いたままとなり、難聴になったり耳漏を繰り返したりします。また、中耳に皮膚の成分が入り込み周辺の骨を溶かしていく真珠腫性中耳炎という病気もあります。真珠腫性中耳炎は虫歯のように徐々に骨を溶かし、内耳を破壊してめまいや難聴を起こしたり顔を動かす神経を麻痺させ片方の顔が曲がったりします。また、進行すると髄膜炎などの重篤な合併症を起こしたりする可能性もあります。
難聴や繰り返す耳漏を認め耳漏保存的な治療で改善しない場合には上記合併症を回避する意味でも手術を行うことがあります。

小児によくある病気で鼓膜の内側にある中耳という空間が細菌感染し耳痛、発熱、耳漏などがおこります。風邪を引いた際に一緒におこることが多いです。 鼓膜を観察することで容易に診断できます。軽症の場合は自然に治癒することもありますが、重症化すると内耳炎を起こして難聴となったり顔面神経麻痺を起こして片方の顔が曲がったりすることもあるので注意が必要です。
当院では小児急性中耳炎ガイドラインに沿った治療を行っていますが、保育園など集団保育を受ける環境では中耳炎を反復したり難治性になったりするため、鼓膜切開やチューブ挿入も含めご両親と相談しながら様々な治療を組み合わせて行っています。

いびきは夜間就寝中に狭窄したのどから発生する音です。いびきは身体のコンディションや飲酒などに影響されます。のどの狭窄がひどくなるといびきだけではなく就寝中に呼吸が止まり、睡眠時無呼吸症といわれる病気となることがあります。
睡眠時無呼吸症は呼吸障害と睡眠障害という2つの側面を持ち、高血圧や心疾患など生活習慣病への影響や昼間の眠気による事故など社会的な影響を及ぼします。眠気への影響としては居眠り運転が通常の方に比較して5倍も多いといった調査報告もあります。
原因としては肥満が最も関係しますが、アジア人では下顎が小さいため軽い肥満でも睡眠時無呼吸症候群となることがあります。また、鼻づまりや扁桃腺肥大など気道の形態異常が関係することもあります。
自宅で行う簡易検査や入院下に行うポリソムノグラフィーといった精密検査により詳細で正確な診断を行います。
治療としては、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法、マウスピース装着および手術療法などがあります。CPAP療法は持続的に空気を送る装置を使用し鼻に装着したマスクを通して気道狭窄を防ぐ方法です。治療効果は高く日本や欧米で最も普及している治療ですが、非常に使いやすい治療というわけではありません。そのため圧の設定やマスクのフィッティングが重要となります。当院では長年睡眠時無呼吸治療にたずさわっていた睡眠認定医師が診断・治療を行っており、CPAPが使いづらい方に対しより使いやすくなるようマスク・機種・設定の変更および指導を行っております。

鼻の中にある副鼻腔という空間に炎症が起こり膿が出たり痛みがでたりする病気です。病気がひどくなると鼻茸(鼻ポリープ)が認められたりします。
従来は細菌感染による副鼻腔炎が多かったのですが、近年は喘息を合併し難治性の好酸球性副鼻腔炎という副鼻腔炎も増加しており、治療法もそれぞれ違った方法になります。当院では内視鏡検査、CT検査および血液検査などを行いどのタイプの副鼻腔炎かを詳細に把握し治療方法を検討します。
基本的にはお薬での治療となりますが、お薬での治療で良くならない場合は、鼻内から針を挿入してうみがたまっている副鼻腔を洗浄していく治療や内視鏡下に鼻内の換気・排泄機能を改善させる手術なども行っています。

鼻腔を左右に隔てている中央の仕切りのような構造を鼻中隔といいます。成人の9割以上の方に若干の曲がりを認めますが、この曲がりがひどいと鼻づまり、嗅覚の低下および繰り返す鼻出血の原因となり得ます。
アレルギー性鼻炎や蓄膿症(慢性副鼻腔炎)を合併している患者さんが多く、まずはお薬での治療から始めます。お薬で症状が改善しない場合に手術を行うこともあります。

鼻中隔弯曲症右