コラム columns
血管収縮薬が入った点鼻薬を使いすぎると……
血管収縮薬の入った点鼻薬によるリバウンド現象
市販の点鼻薬など「ナファゾリン」という成分が入っている点鼻薬を頻回に使用している患者様が多くいらっしゃいます。この薬剤は血管収縮薬であり、鼻の粘膜を収縮させる作用を持ちます。
通常の点鼻薬は腫れた粘膜を正常の粘膜に近づける作用を持っていますが、この点鼻薬は正常よりも粘膜を収縮させることができるため、頑固な鼻づまりに効果を認めることが多いです。
ところが、血管収縮薬を使い過ぎると粘膜の虚血状態が続くことで粘膜の機能不全に陥り、薬の効果が切れると普段よりも数段粘膜が腫れてしまうリバウンド現象が起きてしまいます。こうなってしまうと、点鼻薬を使えば使うほど鼻詰まりがひどくなる悪循環となってしまいます。
普通の鼻が通る人の鼻内初見
点鼻薬性鼻炎の患者様の鼻内所見
使いすぎてしまう原因は?
そもそも、血管収縮薬含有の点鼻薬を使いすぎている患者様には、何かしらの原因が鼻内に隠れていることがほとんどです。
その原因として多いのは、
1 鼻内の形態異常
鼻中隔という左右の鼻腔を隔てる壁のような構造物を鼻中隔と言います。この鼻中隔が弯曲していることで左右の鼻の通りが他の人に比べて極端に狭くなり、鼻詰まり感を起こします。鼻中隔は成長とともに曲がっていくので、物心がついてきた頃にはふと鼻詰まりが気になるといった感じで始まります。鼻中隔以外にも下鼻甲介という羽根のような構造物の形態異常によって頑固な鼻詰まりを起こすことがあります。
詳しくは「鼻中隔弯曲症ーよく通る鼻とはー」をご覧ください。
2 アレルギー性鼻炎
鼻づまりに関係する病気としてアレルギー性鼻炎があります。ダニやスギなどの花粉に対してアレルギー反応を持ってしまうことで鼻の粘膜が常時腫れてしまい鼻詰まりが起きてしまいます。
詳しくは「アレルギー性鼻炎とは」をご覧ください。
3 慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎により鼻内に膿汁やポリープがあると頑固な鼻詰まりを認めます。鼻をかんでもなかなか鼻詰まりが改善しないことが多いです。
これらは鼻内をファイバーで観察したり副鼻腔CTを施行することで詳細に把握することができます。
詳しくは「副鼻腔疾患について」をご覧ください
使いすぎている方はどうしたらいいの?
点鼻薬の回数が増えてきてご不安のある方は、まず原因について精査を受けましょう!
また、血管収縮薬含有点鼻薬を頻回に使用している方では、以前に耳鼻咽喉科に受診・治療歴があるも改善しないため点鼻薬を使い始めた方も多いです。こういった患者様では薬物による治療でうまく改善できなかった経験をお持ちの方も多くいらっしゃいます。
精査によって原因が分かれば、より適切な薬物治療を提案することもできますし、根本的に原因を改善させることが可能な手術治療を提案することもできます。
当院では、頻回の点鼻薬投与による鼻閉から解放された患者様も多数いらっしゃいます。是非ともご相談ください。