コラム columns

2024.08.15

自発性異臭症について

なにも匂いがないはずなのにいつも変な匂いを感じてしまう。この症状を自発性異臭症といいます。
臭いの種類としては焦げた匂いや煙のような匂いを訴える方が多いです。

自発性異臭症の原因について

自発性異臭症には下に示すような原因が考えられます。
 

鼻前庭湿疹

鼻毛が生えている鼻入口の皮膚の部分から粘膜に移行するまでの部位を鼻前庭と呼びます。この場所は気温変化や乾燥などに晒されやすく、皮膚や粘膜が荒れやすいのが特徴です。また、皮膚や粘膜の荒れに伴い、黄色ブドウ球菌などの細菌がはびこりやすくなります。よく鼻をいじりたくなったり、黄色い痂皮(鼻クソ)ができやすくなっているのもこのせいです。この細菌感染に伴い匂いが発生することがあります。
 

慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎は頬部痛、鼻漏などの自覚症状に乏しいことがあります。そのため、症状がないまま膿の匂いだけ気になることがあります。
 

慢性上咽頭炎

同様に自覚症状に乏しい慢性の上咽頭炎にて、上咽頭粘膜に膿がついている場合に匂いが気になることがあります。
 

感冒罹患後嗅覚障害に伴う異臭症

匂いを感知する嗅覚神経は、ウイルス感染にて炎症をおこし非常に強い障害を受けることがあります。嗅神経は障害を受けた後でも再生することが報告されています。しかし、再生して行く過程で本来の嗅覚ルートと全く違う嗅覚ルートが構築されることで、本来感じているものと違う匂いを感じてしまいます。この場合脳内で違和感を生じてしまい、順応がうまくいかず異臭症となってしまうことが考えられます。
 

側頭葉てんかん

近年原因不明の自発性異臭症患者さんの脳波検査を施行したところ、側頭葉てんかんが発見されたという報告があります。
側頭葉てんかんは薬物療法でも発作をコントロールするのが難しいてんかんの一つです。前兆の一つに異臭を感じることがあります。その後意識が曇ってしまうのですが、意識がなくなって倒れるわけではなく開眼した状態で口をモグモグさせたりする程度の方も多いようです。そのため、ご本人はてんかんと気づかず、異臭のみ気になってしまう方もいらっしゃるようです
 

不規則な生活やストレス

不規則な生活やストレスにより抗酸化能力や自律神経のバランスが崩れ、ご自身の体臭や口臭の成分が変わってしまうことがあります。普段と匂いが異なるためその匂いに順応できず、異臭症となってしまうことが考えられます。
 

当院ではこれらの原因を考慮しながらさまざまな検査を行い、異臭症の治療を行っております。異臭が気になる方は当院にご相談ください。