顔面と頚部の疾患 Face disease and Neck disease

顔面・首の病気

顔面神経麻痺(ベル麻痺)

顔を動かす神経に炎症が起きることで顔が動かしにくくなる病気です。通常片側で起きます。はっきりとした原因がわからないものをベル麻痺と呼び、ウイルス感染やストレスなどが関係していると言われています。予後は比較的良いですが、重症の場合は治りが悪いことがあります。急性期はステロイドを中心とした治療を行い、その後は顔の動きを意識したリハビリが非常に重要になります。
麻痺の改善はすぐにではなく、3ヶ月から6ヶ月ぐらいをかけて改善していきますので慌てず治療していきましょう。当院では点滴治療や内服加療を行うとともに、丁寧なリハビリ指導も行っております。

ハント症候群

小児期に感染した水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性して起こる顔面神経麻痺をハント麻痺と呼びます。ハント麻痺はベル麻痺に比べて治りがやや悪いので、より早期の治療が重要となります。
抗ウイルス薬を併用してステロイドの点滴治療を行っていきます。また、当院では治りが悪い方に治癒率向上を目指したステロイド鼓室内投与を行っています。

急性耳下腺炎

耳介(耳たぶ)の前下部を中心に腫れや痛みを認める場合はこの病気の可能性があります。耳下腺は通常唾液を分泌しているのですが、口が乾いたりして分泌量が低下すると細菌が逆に入り込み感染を起こすことがあります。抗生剤や炎症を抑える薬物を服用し治療します。唾石や膠原病(シェーグレン症候群)が関係することもあり、ウイルス性の場合はおたふく風邪と呼びます。

亜急性甲状腺炎

唾を飲み込むときの痛みや首の腫れ、痛みなどを認めます。痛みの場所が変わることも多いです。甲状腺に原因不明の炎症が起こるのが原因です。ステロイド薬の内服を行います。

炎症性(反応性)リンパ節炎

体内に入ってきた細菌やウイルスと闘うために、免疫に関係する細胞を蓄えているリンパ節という組織が体中にたくさんあります。耳や鼻、のどから細菌が入ってくるとこのリンパ節が反応して炎症を起こします。首に痛みを伴うしこりを認めることが多く、抗生剤や炎症を抑えるお薬を使って治療します。

亜急性壊死性リンパ節炎

首に痛みと著明な腫れを伴うしこりが数週間にわたり続きます。原因はウイルス感染によるものと推察されていますが、不明な点も多い病気です。この病気自体は予後が良いので、他の疾患との鑑別が非常に重要となります。ステロイド薬などの内服を中心とした治療を行っていきます。

三叉神経痛

顔の知覚を担う三叉神経に異常が生じ強い痛みが繰り返し起きます。帯状疱疹ウイルスの感染や外傷などを原因とすることもありますが原因が不明なことも多いです。神経の過活動を抑えるお薬を長期に服用し治療していきます。

頚部腫瘍

首には様々な腫瘤ができることがあります。首の真ん中に袋ができる正中頚嚢胞や、甲状腺にできる腫瘍、耳下腺や顎下腺という唾液を作る組織にできる腫瘍など多彩な腫瘍があります。一部悪性腫瘍もできます。触れることができる場合が多く触診である程度の鑑別が可能ですので一度受診のもと精査をすすめていきます。

悪性リンパ腫、悪性腫瘍の頚部リンパ節転移

これらの腫瘤は炎症に比べて痛みが少なく触診上も硬さや可動性が違うことが多いです。大きさも2cmを超えるぐらい大きくなります。疑われた場合は提携している大きな医療機関に紹介し精査していただきます。